インターネットを利用していると、「表示が遅い」、「表示されない」等のトラブルのご経験をお持ちの方がいらっしゃるかと思います。
ご利用の皆さまは、家庭用のインターネット回線の回線速度の保証というのは一切ないことをご存じですか?
一つのインターネット回線を共用で利用してることから、夜間等では回線が混みあい、「表示が遅い」、「表示されない」等トラブルが発生します。
しかし遅かったり不安定になる原因は、回線やプロバイダー側の問題でない可能性も十分考えられます。
そこで「表示が遅い」「表示されない」等のネットが不安定なあなた、どのような対応を行えばよいのでしょうか?あらゆる原因と対応方法に関して徹底解説します。
インターネットが遅い10の原因とその対策
インターネットで「表示が遅い」、「表示されない」等のトラブルの原因はいろいろとあります。回線やプロバイダー側の問題でない可能性も十分考えられます。まず内部要因(ご自分の環境)と外部要因に分けて解説します。
- 内部要因とは
ご自身が対応することで、解決できる内容。主にご自宅の何らかの環境によるもの - 外部要因とは
ご自身の対応だけでは、解決できない内容。主に家の外での環境で発生しているもの
インターネットが遅い原因 | ||
内部要因 | 1 | パソコンの性能 |
2 | ネットワーク機器(ルーターやHUB等)の性能と設置場所 | |
3 | ネットワークケーブルの性能 | |
4 | DNS設定による影響 | |
5 | ウイルス対策ソフトが多重に使われていることによる影響 | |
6 | ブラウザによる影響 | |
7 | コンピューターウィルスの侵入による影響 | |
外部要因 | 8 | 回線の混雑による影響 |
9 | 回線業者やプロバイダーのネットワーク回線機器の故障 | |
10 | マンションの場合は共用部分のネットワーク機器の故障 |
インターネットが遅い内部要因
インターネットが遅い、表示されない等のトラブルの内部要因は下記の7つが考えられます。
原因 | |
1 | パソコンの性能 |
2 | ネットワーク機器(ルーターやHUB等)の性能と設置場所 |
3 | ネットワークケーブルの性能 |
4 | DNS設定による影響 |
5 | ウイルス対策ソフトが多重に使われていることによる影響 |
6 | ブラウザによる影響 |
7 | コンピューターウィルスの侵入による影響 |
それでは各原因と対応方法について詳しく解説します。
1、パソコンの性能によるもの
パソコン性能が低いと表示速度が遅くなります。
インターネットご利用中は、パソコン性能をフルにインターネット利用に集中させるため、ブラウザ以外のアプリケーションは出来るだけ閉じてください。それにより他のアプリケーションが使っていたパソコンの資源(CPUやメモリー)が解放され快適になる可能性があります。
またパソコンのメモリーが足りない場合は追加することで効果も大きいです。但し古いパソコンで32ビットOSの場合、最大4GBのメモリーしか搭載できませんのでご注意願います。
パソコンの買い替えは、壊れていなくても購入後5~6年を目途に考えるとよいかと思います。
それは年々インターネットの回線速度の向上やアプリケーションプロブラムの複雑化、利用者の要求事項の多様化に合わせてネット環境も複雑化していますので、それに合わせパソコンの性能向上も必要になるからです。
2、ネットワーク機器(ルーターやHUB)の性能と設置場所
ネットワーク機器としてルーターやHUBには性能の違いがあります。各機器の性能表の項目で「有線LAN速度(帯域)」をご確認していただき、100Mbps未満であれば買い替えが必要です。出来れば今主流の1,000Mbps対応のものにしてください。
LANケーブルの差し口の規格にLANポートがありますが、この場合は1000BASE-Tになります。
【LANポートの規格表】
規格 | 最大通信速度 (伝送帯域) |
備考 |
10BASE-T | 10Mbps | 10年以上前に利用されていた規格。買い替え必要 |
100BASE-T | 100Mbps | 古い規格。出来れば1000BASE-Tのものにするとよい |
1000BASE-T | 1Gbps | この規格でOK |
また利用年数が長いと性能が出ていない可能性も考えられます。ネットワーク機器は、長くても5~6年以上利用しない方がよいかと思います。
WiFiルーター(無線LANの機器)の場合は、WiFiの規格の技術進歩が早いことから出来るだけ新しいネットワーク機器を使いましょう。また設置している場所によっては電波の強さが変わり、ネット表示に大きく影響します。出来るだけ見通しの良い場所に設置するように注意してください。
【WiFi(無線LAN)の規格表】
規格 | 最大通信速度 (伝送帯域) |
備考 |
IEEE802.11b | 11Mbps | 現在でも利用されているが以前からある古い規格 |
IEEE802.11g | 54Mbps | 現在でも利用されているがあまり早くない |
IEEE802.11a | 54Mbps | 現在でも利用されているがあまり早くない |
IEEE802.11n | 600Mbps | 現在よく利用されている規格 |
IEEE802.11ac | 6.9Gbps | 最新のWiFiルーターに採用されている高速WiFi規格 |
IEEE802.11ax | 9.6Gbps | 2019年から始まった次世代WiFi規格 |
家庭用のルーターやモデムは、長い間電源の入りっぱなしで性能が落ちることがあります。電源の入り切りで性能が復活することも結構ありますので、通信速度が落ちたと感じたら必ず試してみてください。
3、ネットワークケーブル
ネットワークケーブル(LANケーブル)には性能の違いがあります。CAT5e(カテゴリー5e)以上を選択してください。ネットワークケーブルに記載がありますので以前から長い間使用している方はご確認願います。案外CAT5(カテゴリー5)を使われている方も多いのではないかと思います。
またネットワークケーブルを家具や机等重たいもので踏みつぶしている場合は、速度低下を生じることがあります。チェックしてください。
【ネットワークケーブルの規格の調べ方】・・・下記はCAT5e(カテゴリー5e)
【ネットワークケーブルの規格表】
ネットワークケーブルの規格 | 最大通信速度 (伝送帯域) |
備考 |
CAT5(カテゴリー5) | 100Mbps | 10年以上前に利用された規格 |
CAT5e(カテゴリー5e) | 1Gbps | この規格が最低必要 |
CAT6(カテゴリー6) | 1Gbps | 上位の規格となり理想 |
CAT6e(カテゴリー6e) | 10Gbps | |
CAT7(カテゴリー7) | 10Gbps |
4、パソコンやスマートフォンのDNS設定による影響も
パソコンやスマートフォン等の情報端末のネットワーク設定の項目で「DNSサーバー」は、デフォルト(初期値)で自動取得になっています。デフォルトでは加入しているプロバイダーや近くのDNSサーバーを自動で選択しますが、このDNSサーバーの混み具合や性能によっては、インターネットの表示時間に大きく影響を与えます。
DNSサーバーとは、URLにあるドメイン名(例えば「yahoo.co.jp」「google.com」)からIPアドレスをリンクさせるものです。そしてそのIPアドレスは、利用したいページが世界中のどこのサーバーにあるかを調べるために必要な情報です。DNSサーバーの応答時間によって表示時間へ影響を与えます。
表示が遅いと感じている方は一度DNSサーバーの設定を自動取得から手動に変更して試してみるのも良いかと思います。私はいつもGoogle社のDNSサーバーを利用していますが、かなり性能が良いのでおすすめです。
設定方法は、こちらを参考にしてみてください。
5、ウイルス対策ソフトが多重に使われていることによる影響
ウイルス対策ソフト等のセキュリティソフトは、多くの方が導入していると思います。実はこのウイルス対策ソフトを導入することで、ネット表示速度は確実に遅くなります。しかしコンピューターウィルスから守るためには必要なことで、ウイルス対策ソフト導入による表示速度の低下はやむを得ないです。必ず導入してください。
問題はこのウイルス対策ソフトが知らないうちにパソコンに自動でインストールされていたというケースがあります。例えばAdobe社の「Flash Player」は多くの方がインストールしていますが、新規インストール時や更新時にデフォルトで「McAfee」というウイルス対策ソフトが入ります。
この場合はウイルス対策ソフトが多重で動作している可能性があるわけです。
【Adobe Flash Player の導入画面】・・・パソコンでは多くの方が導入しているソフト
「McAfee」はウイルス対策ソフトとしてとても著名な優良なソフトですが、今までインストールしていた他のウイルス対策ソフトと2重で同時に稼働した場合、画面の表示速度は大きく落ちてしまいます。
Adobe Flash Playerの導入画面と同様のケースは他のサイトでもあり、知らないうちにFREEのウイルス対策ソフトが導入され、2個以上同時に稼働することで悪影響を及ぼしていたケースも聞きます。一度ご心配の方はインストールされているソフトを確認してみてください。
6、ブラウザによる影響
パソコンでインターネットをご利用になるには、インターネットエクスプローラー(IE)等のブラウザを利用していますが、このバージョンが古いと表示が遅くなったり表示されない等のトラブルが発生します。
私は標準ブラウザとしてGoogle社のChromeを利用していますが、表示速度が速いとの評判が高いことと裏では常に自動更新していますのでいつでも最新です。おすすめしたいブラウザです。
7、コンピューターウィルスの侵入による影響
コンピューターウイルスがパソコンやスマートフォン等の情報端末機器に侵入した場合、いろいろな不都合が発生します。その中でネットが極端に遅くなったり、不安定になるケースも多くあります。
ウイルス対策ソフトを導入していても新種のウイルスは防ぐことができないこともありますので、必ず定期的にウイルス対策ソフトでスキャンをかけて確認してみてください。ウイルス対策ソフトが未導入の方は必ず導入する必要があります。近年カスペルスキーのセキュリティソフトは軽い事から日本で人気が高まっています。
インターネットが遅い外部要因
インターネットが遅い、表示されない等のトラブルの外部要因は下記の3つが考えられます。
原因 | |
8 | 回線の混雑による影響 |
9 | 回線業者やプロバイダーのネットワーク回線機器の故障 |
10 | マンションの場合は共用部分のネットワーク機器の故障 |
8、回線の混雑による影響で速度が落ちる
光回線業者は大別すると全国網羅している、①「NTT東日本/西日本の光回線」、②「KDDIの光回線(auひかり)やNURO光」。そして各地方には、③「ケーブルTVや電力会社系の独自回線」があります。
この中で最大手の①「NTT東日本/西日本の光回線」は、混雑していることで実際はあまり速度がでていないという評判が多くあるのは事実です。
NTT系の回線をご利用の方で回線速度にご不満のある方は下記の対応をしてください。
- フレッツ光をご利用の方 ⇒ これを機にIPv6接続対応の光コラボへ転用し、同時に月額料金も下げます
- 光コラボに既に加入の方 ⇒ IPv6接続のオプション加入かIPv6接続対応の光コラボへ転用
②「KDDIの光回線(auひかり)やNURO光」をご利用の方で表示が遅いと感じている方は、回線の混雑による影響ではなさそうです。これらの光回線は、速度にとても定評がありますので・・。
③「ケーブルTVや電力会社系の独自回線」をご利用の方で表示が遅いと感じている方は、IPv6接続に対応した光コラボかauひかり等、他の光回線に乗り換えすることをおすすめします。
9、回線業者やプロバイダーのネットワーク回線機器の故障
回線業者やプロバイダーのネットワーク回線機器の故障によるトラブルはまれにあります。
しかし回線業者やプロバイダーのネットワーク回線機器の故障のリスク回避は、家庭用インターネット回線の場合不可能です。
大手の回線業者やプロバイダーには、このリスクに大差ないことから、特段何かを検討する必要はないかと思います。
10、マンションの場合は共用部分のネットワーク機器の故障
マンションには共用部分に設置されている下記のようなインターネットの通信設備があります。
①光ケーブル、②ONU、③ルーター、④スイッチングHUB、⑤LANケーブル
一般に回線事業者は、故障等の異常時に自動で検知する仕組みをとっていますが、その検知の仕組みは通信が途絶えた以外完璧に反応しません。利用者が通告しなければ故障が判明しないケースも少なくありません。
最近の新しいマンションの場合の通信速度は1Gbps(ベストエフォート)が主流ですが、常時10Mbps以下しか出ていないような場合は、共用設備も疑ってください。そして契約している回線業者やプロバイダーに相談してみてください。
私は2017年に新築のマンションに住んだにもかかわらず、通信速度が遅いことで最初から共用の通信設備に異常を疑いプロバイダーに相談してみました。
調査してもらった結果、ONU(光回線終端装置)の初期不良がみつかり、交換工事をしてもらったという経験があります。
よって共用部分の設備の故障は決して稀なケースではないかと思います。
インターネットの回線速度を実際に測定し確認してみよう!
いつでも安定したインターネットをご利用になるには、一度ご自身のインターネット回線の速度をご確認してみてください。ここではインターネット回線の速度がどの程度でているかを簡単に調べる方法をお伝えします。
インターネット上に回線速度を簡易的に無料で測るサイトが多く存在します。下記は代表的な帯域測定サイトです。
サイト名 | 筆者独自の評価 | |
1 | BNRスピードテスト | ◎ 一番実測と近い |
2 | USENスピードテスト | 〇 少々辛めに測定されやすい |
3 | KDDI速度測定サイト | △ 実測よりかなり甘く測定されやすい |
4 | Radish Network Speed Testing | △ 実測よりかなり甘く測定されやすい |
時間を変えて何度か測定することをおすすめします。特にゴールデンタイムや休日の皆さんがインターネットをよく利用する時間に測定してください。
下記は「BNRスピードテスト」で測定した結果のサンプルです。
光回線であるにもかかわらず、いつでも測定結果が3Mbps以下は要注意です。常時10Mbps以上でていれば大きな問題はないかと思います。
例としてYoutube等の動画サイトをHD画像で安定的に見るには常に3Mbps以上の速度がでていれば問題ありません。しかし最新のテレビはネット接続し超高画質の4K画像も見れますが、必要帯域は25Mbpsと高速回線が必要となります。
インターネットが遅い原因と対策のまとめ
インターネットの回線速度が遅い、又は表示されない等のトラブルがあった場合は、インターネット回線業者やプロバイダーが原因の可能性ばかりでないことが、ご理解いただけたのではないでしょうか。
まず10の原因のうち、どれに当てはまるかをご自身で確認いただくことが一番先に行う重要なポイントです。
内部要因が原因の可能性も多々あることから、回線事業者を疑う前にしっかりご確認ください。光回線の場合の回線速度の多くは、カタログ性能上1Gbps(NURO光は2Gbps)と記載ありますが、これはベストエフォートと呼ばれているもので回線速度が保証されているものではありません。
実際に100Mbps以上の回線速度がでている方は、しっかり性能が出ているということになりますのでご安心ください。